病院の中の彼へ手紙をしたためました。



 下は、今年2月の新聞記事です。

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 兵庫県警尼崎北署は(2月)17日、

母親を一日中殴り続け殺害したとして、

同市***町の自称アルバイトの長男、

****容疑者(34)を殺人容疑で逮捕した。



調べによると、

**容疑者は15日午後9時半ごろ〜16日午後9時半ごろまでの間、

自宅で母親の@@@@さん(59)に殴るなどの暴行を加え続け、

殺害した疑い。

**容疑者は「1日中殴っていた」と容疑を認めており、

調べに対し

「(母親の)つきものを取れと神様が命令した」

と意味不明な供述をしているという。

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 私は、

逮捕された彼に今も連絡

を取っています。

 裁判の傍聴にも行きました。

 罪状は傷害致死罪で起訴されていました。

(つまり、殺人罪ではありません)

 検察側の求刑は懲役4年で、

神戸地裁の判決は、懲役3年 執行猶予5年で

既に確定していると思います。



 裁判の傍聴を通して、

彼のやった事はもちろん許されない事だけれでも、

彼には彼の言い分がありました。

ともかく、彼は、

彼の言う「神様」に

苦しんでいました。



 彼は、今、

病院に居ます。



 彼からの手紙で、

「周りの者(患者)が、

 ドアを蹴ったりする音がうるさい」

というような事を書いてくるので、



それは違うだろう、

もっと考える事があるだろう、



という僕の素朴な感情がありました。

それゆえ、

何の気兼ねすることなく、

世間の声を彼に伝えています。



 たとえば、彼から

「Aさんにこれをお願いして欲しい」

と手紙で言われたら、その通り、Aさんに

伝えます。

 それに対して、Aさんが

「そんな事考えるより、自分の罪を償えよ」

と言われたら、それをそのまま、

彼に手紙で伝えています。

 それを読んだ彼は、悔しくて、悲しくて、

何とも言えない複雑で強烈な感情の中で

悶絶しているかもしれません。



 僕は、

彼が事件を起こす前から知っています。

気のいいヤツです。

よく言えば、人がいいヤツ。

悪く言えば、NO(ノー)が言えないヤツでした。

いつもニコニコしていたヤツでした。



 僕には、彼が「神様」に苦しんでいたとは、

全然分からなかった。

 でも、もっと親しい友達には、

その苦しみを伝えていたようです。

その友達は、事件後、

「だから、早く病院に行けって忠告したのに!」

と悔しがっていました。



 彼には、彼の事情があったのでしょう。

親が子供を本当に愛しているとは限りません。

無意識の上に、

親が子供を縛り付けている例もあることでしょう。



 聞く所によると、

彼のお母さんは目が見えず、

彼を頼って暮らしていたとの事。

母親との二人暮しで、

彼は複数のアルバイトで生活を支えていました。



 裁判での証言によると、

事件以前にも

「消えてなくなれー」

と母親に対して怒鳴っていたとの事。



 悲しいなぁ・・・。



 ある時、彼は、中国(大陸)へのお見合いツアーに

参加しました。

 そして、中国の彼女との結婚を真剣に考えていたようです。

 その件で、私が相談を受けました。

 ただ、私も、

どうもその結婚おかしいなぁという感じは

その時に持ちました。

守秘義務があるため、詳しくは述べません。



 人によると、

「人身売買の片棒を担いでいたのだ」

という者もいます。



 私の率直な感想として、

中国人との結婚に関しては、

少なくとも彼は悪い事をしていると言う意識は無かったと思います。

「悪い事」を敢えてやるほどのケツのアナは、

彼は持っていなかったでしょう。

(体格は物凄くいいんですよ。

 マジで怒って、僕に殴りかかってこられたら、

 僕も殴り殺されるでしょう。)

また、悪知恵が働くタイプでもありません。

どちらかというとかなり不器用な方です。



 その結婚問題が進行する中、

お母さんを殴って死に至らしめてしまう

という事件を起こしてしまいました。

 新聞記事では、「一日殴りつり続けて」

となっていますが、

裁判の傍聴をした限りでは、

もっと凄まじいものでした・・・。



 検察側の求刑理由の中で、

実の妹さんが

「出来るだけ長く刑務所に入れておいて」

との要望を出している事に触れました。



 なんとも言いようがありません・・・。



 先ほど、彼に何通目かの手紙をしたためました。

ただの何と言うことのない手紙です。



こんな手紙書いて何か意味があるのか?



そっとしておいてやる方がいいのではないのか?



そういう人もいるでしょう。



 でも、僕は、

彼が、

「俺の本当の事を分かってくれー」

と叫んでいるように思えてなりません。 

少なくとも僕にとって彼は、

エラクいいガタイ(体格)してるのに、

なんて不器用で気の弱いヤツなんだろう、

という彼でしかありませんでした。



 先ほどの妹さんの要望のように、

御家族のいわゆる被害者感情を考えると、

なんとも複雑な気持ちになるのですが、

そして、お母さんの気持ちを慮ると

本当に何とも言いようが無いのですが、

僕の事務所で彼と一緒に中国へFAXを

送った程度の縁があるのですから、

何と言うことのない手紙を出す事ぐらいは

許されてもいいと思います。



今日は、ここまで。また、読んで下さいね!

皆さんにこれからもよいことがたくさんありますように!

ヽ(^o^;)ノ大丈夫。なんとか、なりますよ!

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