人間なんて・・・

 今日、一人の若い女性が尼崎を去りました。
 小さな1ルームのマンションは、もう片付いています。
 ベランダに面したガラスにはヒビがはいって割れています。
 電気会社に退去することをもう伝えたのででしょう。
夕暮れ時なのに、明かりもほとんどつけません。
(僕だったら、そんなの気にせずに、どんどん電気つけるのに・・・)
 荷物はダンボールに5個、ゆうパックで鹿児島の実家へ送りました。
 小っちゃくて、まあるくて、可愛い女の子です。
 ほんとに、ほんとに小さいな声で話します。
 「これで、また、尼崎から美人が一人減るなあ。
  **さんのこれからのご多幸を心より祈ります。」
 と声を掛けると、
ほんの少しクスッと笑って、
聴診器でもしないと聞こえないような小さな声で、
 「ありがとうございます」
と答えてくれました。
 「どうぞお幸せに!」
と言った声は掛けられませんでした。
なんだか、悲しい事情があるような気が、勝手にして・・・。

 まるかつは街を走ります。

 夕暮れ時も終わり、もう全く真っ暗になった頃、
 2号線沿いのある事業所から出て行くと、
「ま〜るかつさん!」
と声を掛けられました。
 知ってるおばさんです。
 がんばってるおばさんです。
 商売がうまく行かず、
商売をあきらめた時に、借金が1000万円以上残りました。
 今、一人で暮らしながら、
一人で借金をパートしながら返しています。
毎日、朝9時から夕方6時まで働いているのに、
「あと3時間ぐらい、どっかで雇てくれへんかねえ〜」
なんて言ってます。
 僕よりずっと年配なのに、
僕よりずっと元気で、明るいおばさんです。
でも、
「いつまで働けるやろか。
 行けるとこまでいかな、しゃあないね」
なんて、ふと、こぼれます・・・。

「おばさん、元気やから全然大丈夫やて!!」
なんて、返すしかありません・・・。

 まるかつは今日もくたくたになり、
ただ、皆さんの幸せを本当に、ただ、ただ、祈りながら、
くたびれて、家に帰ります。

 ♪♪♪人間なんて、ラララララ〜♪♪♪
っていう井上陽水のちょっと悲しい曲なんか
口ずさみたくなるときもありますよね。

今日は、ここまで。また、読んで下さいね!
皆さんにこれからもよいことがたくさんありますように!

2003年01月29日00時00分01秒
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